みみをすます in石神井公園
メディアアート · zumisio
サウンドアートを制作しているパートナーに誘われて、「みみをすます in石神井公園」に行った。勝手にフィールドレコーディング系のワークショップと思っていたが、講師の津田貴司さんと15人?くらいで集合場所のギャラリーから石神井公園まで歩きながら鳴っている環境音を聴き、何がどこで鳴っているんだろうと目で見て観察して、純粋に”耳をすます”解像度をどんどん上げていくという非常にシンプルなワークショップだった。だが、個人的にはかなり衝撃的なワークショップだった。衝撃を受けてしまうと、体験後の知覚が変わってしまう。みんな静かに環境音を聞いている中、静かに興奮していた記憶がある。
大袈裟に聞こえるかもしれないが、ひとりで街を歩くときは大抵イヤホンをしていて当然のように街の音をノイズキャンセリング機能で消している。その”ノイズ”を真剣に聞く。ノイズとしてではなく一つずつの音として聞いて、どこで鳴ってるのか目で確認する。そうすることでただの雑草としてしか見えなかった葉っぱや木も街の環境音としてとても重要な一部のピースであることに気づける。そうやって環境音のピースをどんどん探していく遊びはとても楽しく、ノイズキャンセリングなんてしている場合じゃない!もっと街の音を聞かなければ!そしてどこで鳴ってるか探さないと!と反省..
ワークショップはギャラリーの目の前にある土屋医院に植えてあるトウジュロの音を聞くところからスタート。南国感のあるヤシって感じの印象はあるが音に関してはもはや無音くらいに思っていたが、強い風が吹くと葉っぱ同士がぶつかり合ってバタバタと音を鳴らす。初めて意識して聞いて見たバタバタという音が面白く、まだスタートしたばかりでこんなにも面白くて大丈夫か!となった。
このワークショップでは適当にパシャパシャ写真、映像を撮るんじゃなく、真剣に耳を澄まして聞こうと意識したため写真や映像による記録はない。しかしIAMASの後輩の松井美緒が作ってる Sound Traces なら、録音しておけば録音データと地図情報が記録されて音のストリートビューが作られる。なのでワークショップ中は定期的に録音してた。webサイトで誰でも見れる。もしSound Tracesについて知らない場合はニセテクスチャのニセテ通信を読んだら理解できる!素晴らしいサービスだ。
ワークショップの途中に津田さんが「音にも影がある」みたいなニュアンスのことを言っていて最初は本当に意味がわからなかった。が、公園の中にある川を遮るように立っている大きな木がある。歩きながら自分と木と川が一直線に並ぶ位置に来ると、本当に水の音のボリュームが一気に小さくなり(大袈裟に言うと無音!)、またまた驚愕した。木が光を遮って影を作るように、音も遮られて”影”ができていた。これは記録映像を歩きながら撮ったつもりだったが無かった。やはり記録映像はあったほうがいいのかも..反省
ワークショップの最後は、石神井城主郭跡と石神井氷川神社の間のひらけた場所で「20分ほど自分のお気に入りの場所を探しましょう!」となり、各々分散してそれぞれ公園の中のお気に入りの音を聞いていた。自分はお気に入りの場所なんて見つかるのか?と懐疑的な感じで、でもまぁとりあえず公園の音を聞きながらウロウロしていたら、獣道ではないが歩道でもない感じの道にスポッと収まってしまった。なんでここだろう?と思い、音を聞き、目で確認すると、そこはなんの道かわからないが人の通り道になっているため真ん中に木が生えておらず、写真の赤い部分のように左右にざっくりだがブロック状に木が生えている。

この左右の木々が風で揺れる音がミックスされて、ステレオのように両側から聞こえてくるのがすごく気持ちいい。気づけば、スピーカーの正三角形セッティングのように、左右の木々のブロックと自分がちょうど正三角形を描くリスニングポジションに収まっていた。
しかもこの道は風の通り道にもなっていて、抜けていく風もとても気持ちいい。左右の木々たちはクラウンシャイネス(Crown Shyness)になってる感じがした。木々がお互いに触れ合わない絶妙な距離を保っているからこそ、サワサワといい感じに聞こえるんだとわかって嬉しい発見。写真で見てもクラウンシャイネスも左右のブロックの感じもあまりピンと来ないかもしれないが、現場ではそのように感じたのでそのまま書くことにした。